「誰がアパレルを殺すのか」を20代をファッション業界に捧げた身で読んだら

「誰がアパレルを殺すのか」を肌で感じていた20代

キャリアの始まりこそファッション誌だったものの、2社目からどっぷりアパレル企業に属していて、20代を捧げた身としては、すごーく気になっていた本。

本や映画のレビュー系を長々書くのはあまり好きではないし、まだ読んでない方のためにもここでは書きませんが、「本当にこうだったな〜!」と色々思い出させる、丁寧でリアルな内容だったので、今回はその体験と共に振り返ってみました。

アパレル経験者も思わず納得!のリアルな内情

私はファッション誌のあと、国内の大手アパレル→国内の中規模アパレル→外資ラグジュアリーブランドへと転職したのですが、それ以外にも、新宿伊勢丹で数カ月お手伝いをしたこともあったり、学生時代、留学中のロンドンのTOPSHOPや、コベントガーデンにある古着やさんでバイトしていたり、アパレル業としてのいろんな場面に触れてきました。

当時はいずれは英語を生かして好きなファッションを携わるバイヤーになりたくて、情報収集にも熱心だったし、アパレルでの経験は=私の20代そのものぐらい 笑、身近な話だったので、本に書かれていることは、過去に経験したことと照らし合わせて、私にとってはまさに答え合わせのような本。また、先の未来も考えせてくれる気づきをくれる本、でした。働かせてもらっていた企業名も出てくるし。仕事は楽しかったし良い上司ばかりで、良い思い出しかないけど。

でも業績悪化で、今のブランド、事業部はもう来季はありません、解散!となって、またみんなで働けるといいね!と言われて、思わず涙した記憶があります。そういえば。この本を読んで突然思い出したけど、まさに本に書いてあった通りの道をたどっていたのかも。

その後別のアパレル企業でも倒産で退職、なども普通に経験したし、まさにアパレル業では本当〜によく見聞きすることでした。まだまだ端くれの20代の私たちより、あんなに激を飛ばしていたというか、強めの指示を出していた上司が、ある日突然さくっと転職していくんですよね  笑。ブランドの売り上げのために!!って感じだったのに、「え!?」って笑ギャップを感じることはありました。

でもこれはよくあることで、みんなアパレル内で横に転職していくし、そういう世界かと思っていました。それに疑問を持っていてはやっていけない世界、と思い込んでいたのも大きいですが、今となってはなんでそうだったのか、が読むとよく分かる…。

読んでいて、まさに答え合わせをしているようでした。

 

避けられないサスティナビリティの流れ

今はファストファッションの低価格にも一通り慣れて、大人は特に少しお金をかけても気に入ったものを長く使いたい、という方も増えていますよね。

個人的にはファッション業ほどワクワクするものって他にないと思うから頑張ってほしいし、特に日本のものづくりのクオリティは世界に誇れるほど高いから、守られてほしい&広まってほしいし、この時代に売り上げ優先で環境を汚染するとか、ゴミになる服を増やすのは普通にナシ、だと感じます。

GUにもサスティナビリティの流れが
国内大手のGUにもサスティナビリティの流れが

2019年の12月に行われたGUの展示会でも、入口を入ってすぐのスペースに、サスティナビリティについての大きなコーナーが出ていました。

「サスティナビリティ」はよく聞くようになったワードNo.1だと思いますが、確か前回の展示会まではこのコーナーはなかったので、大きな流れが来ているのを感じました。

プレスの方に伺ったところ、世界中でそうなってきていて、もう避けられないぐらい大きい流れになっているということでした。発信力の大きなブランドが提案することによって、たくさんの人に届くし、「知らない」から「知っている」状態になることはすごく大きな一歩なので、これはすごくいいことですよね。

あとは、だれでもできる方法! これは声を大にして言いたいけど、「物は大事に」という昔ながらの教えを守ることが大切かなと思います。

ファストファッションだからとか○○のブランドだから、とかではなく「もの」として、どれも大事にしようという意識があれば、長持ちもするし、耐久性などにも自然と気づくようになるし。「安いのを買って、テキトーに使って、飽きたら捨ててまた買えばいいや」は、ゴミももちろん増え続けるだけ……。

「当たりまえじゃん!」と言われそうな内容ですが、子どもたちにも伝えていきたいし、自分で実践しながら生活していきたいなと思っています。

まとめ

事実をしっかりと系統的にまとめてくれてあり、批判的なものでもなく、前向きに終われる本だったので、私も端くれもいいとこだけど、ファッションに関わる身として、がんばろー!と思わせてくれる、勉強になる一冊でした。

そして著者のお二人が同年代(!)というのもとっても気になるポイントで、陰ながら応援したくなりました。アパレル業や世の中の流れに興味のある方にぜひオススメです。

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